トリコモナス
トリコモナスは、トリコモナス原虫によって引き起こされる性器感染症であり、性行為によって感染することが主な特徴です。しかし、下着やタオル、便器、浴槽などからも感染が広がることがあり、性交経験のない人や幼児でも感染する可能性があります。
特に、不特定多数の相手との性交渉やコンドームの不使用は感染リスクを高める要因となります。また、温泉施設などでも感染の可能性があるため、衛生管理にも留意する必要があります。
女性は主に膣炎や膀胱炎の症状が現れることが多く、男性は尿道炎を発症することが一般的です。しかし、多くの場合、自覚症状がないまま感染が進行することもあります。
潜伏期間
潜伏期間は、トリコモナス感染後約10日程度です。
トリコモナスの症状
男性
- 尿道のかゆみや違和感
- 尿道からの膿の排出
- 排尿時の痛み
女性
- 異臭の強い黄白色のおりものの増加
- 膣や周囲のかゆみ
- 下腹部痛
男性では症状が悪化すると前立腺炎が発症し、女性では卵管まで炎症が進行し不妊症や早産、流産を引き起こす可能性があります。感染の機会から24時間が経過していれば検査を受けることができます。
トリコモナスの検査
検査方法は以下のとおりです。
男性
- 尿検査
女性
- 尿検査または膣ぬぐい液
より精度の高いPCR法で検査を行います。検査結果が出るまでには、通常5~7日間かかります。
妊娠中、または生理中の女性は、性器の膣ぬぐい検査は行えません。この場合はかかりつけの産婦人科で相談してください。生理中の場合は、生理が終了してから受診してください。ただし、妊娠中や生理中でも咽頭検査や採血は可能です。
抗生物質を内服している場合は、検査の精度が低下する可能性があります。内服終了後、少なくとも2週間以上経過してから検査を受けることを推奨します。
男性の淋菌およびクラミジアの迅速検査キットによる即日抗原検査は、検査精度の観点から行っていません。男性の淋菌およびクラミジア検査は核酸増幅検査(PCR法)のみ行っています。
トリコモナスの治療
治療方法は以下のとおりです。
男性
- 抗原虫剤の内服
女性
- 抗原虫剤の内服
- 膣錠
ただし、抗原虫剤を使用中はアルコールを摂取できません。アルコールが分解されにくくなることで、アルコール中毒の症状が現れる可能性があるためです。
感染していても検査で検出されないことがあるため、パートナーがトリコモナスに感染している可能性がある場合は治療をおすすめします。症状が出ている場合は、検査結果を待たずにお薬を処方することも可能です。
トリコモナスの予防
- 不特定多数の人との性交渉は避けましょう。
- 性行為の際には必ずコンドームを適切に使用しましょう。
- 生理中は膣内の免疫力が低下することでトリコモナスが繁殖しやすくなるため、性行為は控えましょう。
- 感染者とのタオルの共用や、一緒にお風呂に入ることは避けましょう。
- 温泉施設を利用する際は、椅子にタオルを敷いてから座る、プールや温泉に入った後は体を十分に洗うなどしてください。