- 男性更年期障害(LOH症候群)
- 男性更年期障害の原因
- 男性更年期障害(LOH症候群)の症状
- 男性更年期障害(LOH症候群)の診断
- 男性更年期障害(LOH症候群)の治療
- 男性更年期セルフチェック表
- テストステロン補充療法
男性更年期障害(LOH症候群)
LOH症候群、または男性更年期障害は、男性に発生する更年期障害で、さまざまな身体的、精神的、性機能に関連する症状が現れます。主な症状は身体症状、精神症状、性機能障害に分けられます。
身体症状として、冷え、動悸、ほてり、発汗、肩こり、筋肉痛、関節痛、不眠、頭痛、めまい、耳鳴り、便秘、下痢、食欲不振、呼吸困難、全身の倦怠感などが挙げられます。精神症状にはイライラ、やる気低下、集中力低下、不眠、過眠、不安、抑うつなどがあります。性機能障害として、性欲低下や勃起力低下が報告されています。
LOH症候群の診断は、男性ホルモンの採血検査と専用の問診票(AMSスコア)の内容をもとに行います。
もし男性更年期障害の症状があると疑われる場合、医療専門家への相談が重要です。適切な治療法が検討され、症状の軽減や改善を図ることが可能です。
男性更年期障害の原因
男性ホルモンの減少
男性ホルモンであるテストステロンは精巣で産生され、男性の身体や性機能の維持に重要な役割を果たします。しかし、40歳代以降、男性の体内でテストステロンの分泌量が減少し始めます。この加齢に伴うテストステロンの減少は、男性更年期障害の主要な原因の一つです。
自律神経の乱れ
生活習慣の不規則さや過度のストレスは、男性ホルモンの分泌に影響を及ぼす可能性があります。不規則な睡眠、偏った食生活、慢性的なストレスなどは、脳から男性ホルモンの分泌を抑制する指令を出すことがあり、男性更年期障害のリスクを高めます。これにより、若い年齢でも男性更年期障害が発症することがあるため、生活習慣の乱れにも注意が必要です。
男性更年期障害(LOH症候群)の症状
男性更年期障害は、身体的症状と精神的症状の2つの主要なカテゴリーに分類されます。身体的な症状には、性機能の低下、のぼせ、多汗、倦怠感、筋力低下、骨密度低下、頭痛、めまい、頻尿などが含まれます。一方、精神的な症状には、不眠、無気力、イライラ、性欲低下、集中力や記憶力の低下、うつ症状などが挙げられます。
これらの症状は加齢や疲労によるものと誤解されることがありますが、男性更年期障害は他の重大な健康問題と関連していることもあります。そのため、違和感が続く場合は医師や専門家に相談し、適切な診断と治療を受けることが不可欠です。これにより、症状の緩和や管理が可能となり、健康な生活をサポートできます。
男性更年期障害(LOH症候群)の診断
患者さんとの面談やアンケートを通じて、男性更年期障害に関連する身体的および精神的症状を評価します。一般的な症状に関する質問やアンケートを用いて、症状の程度や頻度を把握します。AMS(Aging Males' Symptoms)スコアは、特定の症状を評価するために使用される質問票です。AMSスコアを使って、男性更年期障害の可能性を判断するために症状の重要度を評価します。また血中のテストステロンの濃度を測定することも診断するうえで有用です。
男性更年期障害(LOH症候群)の治療
男性更年期障害の治療アプローチは、薬物療法と生活習慣の改善指導が中心です。主な治療方法には、テストステロン補充療法 (TRT)、漢方薬、生活習慣の改善があります。TRTはテストステロン不足を補うために用いられ、筋力、性機能、骨密度などの改善が期待できます。漢方薬は伝統的な中医学の原則に基づいて調合され、個別の症状や体質に合わせて処方されます。
生活習慣の改善は、栄養摂取、運動、ストレス管理、睡眠の改善などを含み、症状の軽減や全体的な健康の向上に寄与します。
前立腺がんのスクリーニングも重要な要素であり、TRT治療前に前立腺がんの早期発見のための検査と定期的な観察が必要です。
男性更年期セルフチェック表
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- エネルギーが不足している
- 身体的なパフォーマンスが減少している
- 身長が縮んできた
- 日常の喜びが減少している
- 憂鬱でイライラしやすい
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テストステロン補充療法
テストステロン補充療法は、テストステロンの不足を補うために行われる治療で、通常は2~4週ごとに筋肉注射を行います。初めに2~3回の注射を行い、症状の改善を観察します。改善が見られれば、治療を継続します。もし改善が見られない場合、他の潜在的な健康問題を検討し、必要に応じて追加の検査や他の医療専門家の診断を検討します。
テストステロン補充療法は、内服や軟膏などの方法も存在しますが一般的ではありません。また、注意が必要な副作用として肝機能障害が報告されています。現状ではテストステロンの筋肉注射が一番よく使われており、皮膚にぬる外用薬も使用可能です。
・現在テストステロン注射剤の供給が不安定なためテストステロン補充療法を希望される場合は事前にクリニックにご確認ください