尿漏れ・尿失禁で悩んでいませんか?
尿漏れや尿失禁といった尿に関する問題は、多くの人が経験するものの周囲に相談しにくいものです。どの診療科に相談すべきか、どのような治療が適切か、そして治る可能性があるのかなど、さまざまな不安を抱えている方が多いでしょう。
尿漏れや尿失禁は個人差が大きく、症状や原因もさまざまです。例えば、ストレス性による尿失禁、過活動膀胱、前立腺肥大症、尿道括約筋の弱さ、骨盤底筋の緩み、尿路感染症などが原因となることがあります。
尿漏れや尿失禁に対する治療法には、薬物療法、物理療法、手術などがあり、原因や年齢などさまざまな要素をもとに判断します。
尿漏れ・尿失禁の検査
視診・触診
患者さんの合意を得た上で、必要に応じて骨盤臓器脱の有無を調べます。この疾患は子宮や膀胱などが膣から飛び出るもので、それによって尿漏れが引き起こされることがあります。ただし、患者さんのご希望や若い方の場合には省略することもあります。
尿検査
尿の中に赤血球、白血球、がん細胞、細菌などが含まれていないかを調べます。感染やがんなどがあると、これらが尿失禁の原因となることがあります。
超音波(エコー)検査
超音波検査は、特殊な機械とゼリーを使用して体内の結石や腫瘍などの異常を探る検査です。これらの異常が尿路に影響を与え、尿失禁を引き起こす可能性があります。粘膜を傷つけたり被ばくしたりするリスクがないため安全です。
採血検査
血液検査によって、体内の炎症、前立腺がん、腎機能の低下などの異常を確認します。尿漏れ・尿失禁のほとんどは異常が見られないことが多いですが、まれに重篤な疾患が隠れています。
尿流動態検査
尿の勢いを測定し、前立腺肥大の大きさや尿路の閉塞、膀胱機能に問題がないかを評価します。
残尿測定検査
排尿後に膀胱に残っている尿の量を測定する検査です。超音波を使用するため、患者さんに負担がかかりません。排尿した後には通常は残尿は少ないはずですが、膀胱機能が低下していると残尿が多くなります。
膀胱鏡検査
尿道から膀胱内にカメラを挿入し、尿路の異常、結石、腫瘍などを観察します。この検査は、結石やがん疾患の疑いがある場合に行います。当院では柔らかい膀胱鏡を使用して患者さんの負担を最小限に抑えています。膀胱鏡を挿入している時間は2-3分程度です。
尿漏れ・尿失禁の種類とその治療
腹圧性尿失禁
腹圧性尿失禁は、咳やくしゃみ、歩行など、お腹に力が入る瞬間に尿が漏れるものです。
原因
腹圧性尿失禁の主な原因は、妊娠・出産、肥満、加齢、前立腺がんの手術などです。女性の場合、出産や加齢によって骨盤底筋全体や尿道括約筋の筋肉が衰え、腹圧性尿失禁が発生することが多いです。尿道括約筋は、尿漏れを防ぐ役割を果たす骨盤内の筋肉で、通常は腹圧に対抗して尿を保持します。しかし、この筋肉が緩んでしまうと、腹圧が尿漏れを引き起こす力を上回り、尿が漏れてしまいます。
男性の場合、前立腺がんの手術中に尿道括約筋が傷つき、手術後に腹圧性尿失禁が発生することがあります。しかし、近年ではロボット手術や腹腔鏡手術の普及により、従来の開腹手術よりも低侵襲でかつ精密な手術が行われるようになり、手術後の尿失禁リスクが軽減されてきています。
治療
腹圧性尿失禁は筋力の衰えが原因で起きるため、薬を飲めば治るというものではありません。治療は段階的に行われ、まず、骨盤底筋体操や尿道括約筋のトレーニングを行い、尿漏れを抑えるための筋肉を鍛えます。これによって軽度の尿失禁症状を改善することができます。
骨盤底筋体操はご自身で行う筋力トレーニングで、毎日定期的に行う事が重要になりますが、現実的には継続的に骨盤底筋体操を行えているかたは少ないかと思います。当院では医療機器(高度パルス電磁)をつかって骨盤底筋全体に刺激を与えることで筋力を強化する事が可能です。一回あたり30分程度、アンチェアーに座るだけで約12000回の筋肉収縮が可能になります。週1-2回程度で4-6コースの治療を行うことで骨盤底筋の機能が徐々に改善していき、9割以上のかたで尿失禁などの自覚症状が改善します。
アンチェアーを使用する際は特に衣類を脱ぐ必要はなく、そのまま椅子に座るだけで気軽に治療ができます。
効果が期待できる方
- 男女問わず尿漏れでお困りのかた
- くしゃみや運動で漏れるかた
- 産後尿漏れ(産後3カ月から施術可能)
- 水を見たり、音を聞くと突発的に尿意を感じて我慢できなくなるかた
- 出産後に骨盤機能の早期回復や、性生活の改善を希望するかた
- 子宮脱や骨盤臓器脱のあるかた
- 勃起不全でお悩みの男性
- 前立腺癌術後で尿漏れが続くかた(術後3カ月から施術可能)
- 現状では自覚症状はないが今後の加齢にそなえて予防的に骨盤底筋を鍛えておきたいかた
- 骨盤底筋体操がご自身ではうまくできないかた
※磁場が発生するため体内に金属(ペースメーカー)や避妊具がはいっているかたは治療を受けられません
これらの治療効果が不十分である場合や症状が重度である場合、外科的な手術を検討します。外科手術は尿道括約筋の補強や修復を行うことで、尿漏れを改善することが可能です。外科手術をしたほうがよいと判断された場合には適切な総合病院をご紹介いたします。
切迫性尿失禁
切迫性尿失禁は、急に尿意を感じてトイレに行く前に尿が漏れてしまう状態を指します。この症状は尿意切迫感や頻尿といった特徴的な症状を伴います。
原因
男性であれば、前立腺が肥大すると尿道を圧迫し、尿の通り道が狭くなります。その結果、切迫性尿失禁を引き起こすことがあります。ほかには前立腺癌術後の合併症として切迫性尿失禁の症状を起こすこともあります。また、女性であれば膀胱の筋肉が異常に収縮し、尿意を感じさせる「膀胱の過活動」、膀胱が下垂にすることによる「膀胱瘤(ぼうこうりゅう)」、骨盤内の臓器が膣から脱出する「骨盤臓器脱」なども原因です。
さらに、脳血管障害によって尿の制御が難しくなり、切迫性尿失禁が発生することがあります。
治療
前立腺肥大症が原因の場合は、主にα1ブロッカーやPDE5阻害剤、5α還元酵素阻害薬などの薬物治療を行います。過活動膀胱は抗コリン薬やβ3作動薬などの薬物治療、骨盤臓器脱や膀胱瘤は外科手術で対応します。
腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁の治療に共通して効果的な方法として、骨盤底筋体操が挙げられます。これは骨盤底筋を強化し、尿漏れを抑えるためのエクササイズです。
難治性の過活動膀胱に対しては「ボトックス膀胱壁内注入治療」も適応となります。ボトックス(ボツリヌス毒素)を膀胱壁へ直接注射します。ボトックスは筋肉の過剰な収縮を緩和し、尿漏れや頻尿を減少させます。
混合性尿失禁
混合性尿失禁は腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁が同時に現れるタイプであり、症状が複雑です。多くは50~60代の女性に見られます。お腹に力を入れた際にも漏れることがあり、トイレに行く前に漏らすケースも少なくありません。
治療
混合性尿失禁の治療は、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両方を考慮してそれぞれの治療を行います。
溢流性尿失禁
溢流性尿失禁は、尿を出そうとしても出せず、膀胱に尿が貯留され、その圧力によって尿が漏れ出る状態を指します。主な原因は前立腺肥大症や前立腺がんなどの男性特有の疾患で多く見られますが、女性でも見られることがあります。女性の場合は糖尿病による神経因性膀胱や加齢による低活動膀胱により排尿機能が低下した場合に膀胱が縮んで排尿することができずに溜まってあふれ出ることがあります。
尿道が完全に閉塞(尿閉)することが多く、尿を出せずに蓄積されることで漏れてしまいます。膀胱内の尿を出せないために膀胱が異常に膨らみ、お腹が張ることが特徴です。この状態が続くと、腎機能が損傷し、急性腎不全の危険性も高まります。
治療にはまず、尿を排泄するために尿道カテーテルを挿入し、膀胱から尿を排出する必要があります。その後、原因疾患である前立腺肥大症や前立腺がんの治療が行われます。ただし、この段階に至ると、薬物療法だけでは解決が難しく、手術が必要な場合があります。長期間にわたってカテーテルを使用しなければならないこともあります。
尿漏れ・尿失禁でお悩みでしたらぜひ、当院までご相談ください
当院は泌尿器科を専門としたクリニックです。患者さんの健康を最優先に考え、院内での感染予防対策とプライバシーの確保に細心の注意を払っています。泌尿器関連の症状にお悩みの方はお気軽にご相談ください。