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HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)

HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)

子宮頸がんワクチンは、子宮頸がんの主な原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)感染を予防するためのワクチンです。特に高リスク型HPVの感染は、子宮頸がんを引き起こす大きな要因とされ、若年層の女性で多く見られます。感染は性的接触によって起こり、子宮頸部粘膜の微小な傷を通じてウイルスが侵入、上皮内で増殖します。これが数年かけて前がん病変を経て発がんすることがあります。

子宮頸がんが進行すると、初期段階を除き多くの場合で子宮全摘手術が必要となり、妊娠・出産が困難になるほか、術後の後遺症が日常生活に影響を及ぼす可能性があります。また、初期がんの場合でも子宮円錐切除術を行うことで切迫早産や早産のリスクが高まることが知られています。このような背景から、若い女性に対するHPVワクチンの接種は、子宮頸がんを予防する非常に効果的な手段とされています。

子宮頸がんの原因となるHPVの中で特に重要なのは16型と18型ですが、これらは子宮頸がんだけでなく、陰茎がん、肛門がん、咽頭がんなどの原因にもなることがわかっています。

子宮頸がんについて

子宮頸がんの発症率は20代から増加していき30代後半から40代で最も多く、日本では毎年約11,000人の女性が子宮頸がんと診断され、そのうち約2,900人が亡くなっています。
主な原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染です。HPVは性的接触によって感染し、性的活動のある女性のほとんどが一度は感染するとされています。多くの場合、感染は自然に消失しますが、免疫が十分に働かない場合、一部の人で感染が長引き、がんへと進行する可能性があります。
一般的には「がん」は年をとるにつれて罹りやすくなると考えられていますが、子宮頸がんに関してはHPVウイルス感染が主な原因であるため若くして罹患することが特徴です。
初期の子宮頸がんにはほとんど自覚症状がなく、気づいた時には進行していたということが少なくありません。子宮頸がんが進行すると、生理と関係なく出血する、褐色や臭いを伴うおりもの、下腹部痛や腰痛などの症状がでてきます。子宮頸がんの早期発見のために20歳をすぎたら定期健診を受けることが重要ですが、そもそも子宮頸がんの原因であるHPVウイルスへの感染を防ぎ、発症を予防することが重要です。

子宮頸がんの予防方法

HPVワクチン接種

HPVワクチンを接種することで、HPV感染を予防し、子宮頸がんのリスクを大幅に減らすことが可能です。

定期的な子宮頸がん検診

定期的に検診を受けることで、がんになる前段階の異常(異形成)や、がんの初期段階での発見が可能です。早期に発見することで、負担の少ない治療を受けることができ、経過観察や治療方針を医師と相談しながら進めることができます。

早期の予防と発見により、子宮頸がんを防ぐことができる可能性は高まります。健康を守るため、適切な対策を心がけることが重要です。

ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症

子宮頸がんの発症率は20代から増加していき30代後半から40代で最も多くなります。一般的には「がん」は年をとるにつれて罹りやすくなると考えられていますが、子宮頸がんに関してはHPVウイルス感染が主な原因であるため若くして罹患することが特徴です。
HPVはありふれたウイルスで性交渉の経験がある女性の84.6%が一生に一度はHPVに感染すると推計されていますが、HPVには200種類以上の型があり、おおまかには子宮頸がんの原因となる高リスク型と皮膚や粘膜にできるイボの原因となる低リスク型があります。子宮頸がんの原因となる代表は16型と18型で子宮頸がんの原因の65%程度を占めます。20-30代でみつかる子宮頸がんの80%以上が16型と18型です。その他にも31型、33型、35型、39型、45型、51型、52型、56型、58型、59型、66型、68型などがあります。
低リスク型としては6型と11型が性病として知られている尖圭コンジローマで性器や肛門の周りにイボができます。液体窒素などで治療しても再発しやすいことが特徴です。
9価ワクチンのシルガード9はHPV6、11、16、18、31、33、45、52、58型の9つの型の感染を防ぎます。
4価ワクチンのガーダシルはHPV6、11、16、18の4つの型の感染を防ぎます
しかし、一部の高リスク型は以下のような疾患の原因となることが確認されています。

  • 子宮頸がん
  • 咽頭がん
  • 肛門がん
  • 尖圭コンジローマ(外陰部や肛門周囲にできる良性のイボ)

HPV感染自体は自然に排除されることが多いものの、感染が持続する場合にはがんやその他の疾患へと進行するリスクがあります。そのため、予防としてHPVワクチンの接種や、定期的ながん検診が推奨されています。

男性のHPVワクチン接種について

男性がHPVワクチンを接種することで、以下の感染症や疾患の予防が期待されます。

  • 中咽頭がん
  • 肛門がん
  • 尖圭コンジローマ(外陰部や肛門周囲にできる良性のイボ)

さらに、男性がHPV感染を予防することで、性交渉を介したHPVの伝播を防ぎ、女性のHPV感染リスクを低減させる効果も期待されています。その結果、女性の子宮頸がん予防にも寄与する可能性があります。

HPVワクチンは男女ともに接種することで、個人の健康を守るだけでなく、社会全体の感染症リスクを軽減する重要な手段となります。
子宮頸がんは性交渉によるHPV感染が主な原因ですので、はじめての性交渉よりも前にワクチンを接種することで高い効果が期待できます。性交経験率は女子中学生では4.5%、女子高校生では19.3%、女子大学生では36.7%というデータがあります。
(日本性教育協会 青少年の性行動 わが国の中学生・高校生・大学生に関する第8回調査報告)

男性への接種を推奨する理由

HPV感染は性感染症である

HPV感染は子宮頸がんの95%以上の原因であり、性感染症として認識されるべき感染症です。性感染症治療の基本原則である「パートナーとともに治療を行う」ことを考えると、男性のHPVワクチン接種は重要です。ワクチン接種によりピンポン感染を防ぎ、女性の子宮頸がん予防をさらに効果的にすることが期待されます。

HPVワクチンは尖圭コンジローマの予防にも有効

男性がHPVワクチンを接種すべき理由の一つは、性感染症である尖圭コンジローマを予防できる点です。尖圭コンジローマは精神的ストレスが大きく、根治が難しいうえに再発を繰り返す可能性がある感染症です。 HPVワクチン「ガーダシル」は、尖圭コンジローマに対しても高い予防効果があり、海外では男性への接種が推奨されています。また、HPVは子宮頸がんだけでなく、男性に多い咽頭がん、肛門がん、直腸がん、陰茎がんの原因ともなるため、これらのがんの予防にも寄与します。男性がワクチンを接種することで、自身の健康を守るだけでなく、感染の拡大を抑えることにもつながります。

男子HPVワクチン任意接種助成を開始します(令和6年12月1日開始)

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについては、男性が接種することで、HPVの感染による肛門がんや尖圭コンジローマの発症等の予防や、性交渉によるパートナーへの感染の広がりを抑える効果が期待できます。 このため区は、接種を希望する対象者の保護者等への経済的負担の軽減を図ることを目的に、男性へのHPVワクチン任意接種の費用助成を開始します。
※助成事業開始日 令和6年12月1日から

対象者

接種日現在、港区に住民登録のある小学校6年生から高校1年生相当年齢までの男子

次の要件をすべて満たす方が対象です。

  1. 港区に住民登録をしていること
  2. 12歳となる日の属する年度の初日から16歳となる日の属する年度の末日までの間にある男子であること
  3. HPVワクチン接種を規定の回数(3回)まで完了していないこと

助成が受けられる期間

小学6年生となる年度の初日(4月1日)から高校1年生相当年齢となる年度の末日(3月31日)まで

※令和6年度に高校1年生相当年齢の男子については、令和6年度中に1回以上の接種を本助成事業によって受けた方に限り、令和7年度末を限度に接種が完了するまで助成します。

申込み

接種前に、保健予防課へ申し込み、専用の予診票を取得して下さい。

申請をいただいてから予診票を1週間~10日程度でご自宅へ郵送いたします。

くわしくはこちら

費用

無料(区発行の予診票をお持ちの方のみ)
ただし、任意接種予診票に記載されている有効期限を超えての接種、区の実施医療機関以外での接種、必要回数を超えての接種、区の任意接種予診票を使用しないで接種した場合等、区で定めた規定が守られない場合は全額自己負担になります。

使用ワクチン

4価ワクチン ガーダシルⓇ
※海外の定期接種の主流となっている9価ワクチン(シルガード®9)は、日本では令和5年4月から女性の定期接種ワクチンとして加わりましたが、男性への接種は薬事承認されていないため助成の対象になりません。

接種スケジュール

合計3回の接種が必要なワクチンです。 標準的な接種方法として、2か月の間隔をおいて2回の接種を行った後、1回目の接種から6か月の間隔をおいて1回を接種します。

男子HPVワクチン任意接種助成以外の場合の費用

  料金
子宮頸がん9価ワクチン(シルガード) 33,000円(税込)×2〜3回
子宮頸がん4価ワクチン(ガーダシル) 18,000円(税込)×3回

※シルガードおよびガーダシルワクチンの在庫状況についてはクリニックにお電話でお問い合わせください。