ボツリヌス注射(ボトックス注射)とは
ボトックス注射は、「A型ボツリヌス毒素」と呼ばれるタンパク質を用いた治療法で、筋肉と神経の結合部に作用して局所的に筋肉の動きを弱めます。眉間・目尻・額・あごの表情じわの改善に効果的であり、他にもエラに打つことで小顔効果、多汗症の改善、ふくらはぎの痩身効果、肩こりや毛穴の改善などにも応用されます。
効果は注入後2日から1週間ほどで現れ、約6ヶ月間持続します。様々な美容・健康面の問題に対して効果的な治療法として利用されています。
膀胱内ボトックス注入療法(過活動膀胱)
保険診療で可能な治療として過活動膀胱に対する膀胱内ボトックス注入療法があります。
抗コリン薬やβ3刺激薬などの内服治療や生活習慣の改善、行動療法などでも治まらない症状に対して膀胱の筋肉にボトックスを注入することで直接膀胱の収縮をおさえることで頻尿症状が改善します。
膀胱内ボトックス注入療法は外来での治療が可能です。砕石位(お産の時の体位)で膀胱内に軟性膀胱鏡(ファイバー)を挿入して膀胱内を観察します。膀胱は袋状になっていますが、特殊なカテーテルを用いて、膀胱の壁にボトックス100単位をまんべんなく20か所に注射します。
施術時間は30分程度ですが、事前に膀胱内に局所麻酔を注入する必要があります。大きな合併症はなく、頻度はすくないですが、血尿、尿路感染症、一時的な排尿困難(尿閉)があります。ほとんどのかたで過活動膀胱の症状が改善し、内服薬を中止することも可能になります。効果は通常半年程度持続し、効果が切れた場合には追加で注射ができます。
日本国内のデータでもボトックスの効果は報告されており、3日間の排尿日誌で膀胱内ボトックス注入療法前には日中の尿失禁回数が5.5回であったものが治療後1か月で2.0回まで改善しています。また切迫性尿失禁がまったくなくなるまで改善した人もいました。
当院では膀胱内ボトックス注入療法(保険診療)ではグラクソスミスクライン社のボトックスを使用しています。
その他の自由診療でのボトックスはMedytox社のイノトックスを使用しています。イノトックスはヒト血清アルブミンや動物由来物質を排除しております。また他剤と違い液体状の製剤のため効果が安定しており使用時に外部から細菌が入りにくい特長があります。また効果持続時間がやや長いとされています。
ボツリヌス治療とヒアルロン酸との違い
ボツリヌスとヒアルロン酸は、シワを改善するプチ整形手法でありながら、異なるアプローチを提供しています。ヒアルロン酸は皮下に注入され、脂肪や皮下組織の支持組織が老化によりよわまり垂れたりくぼんだ皮膚の内側にボリュームを与えてしわを目立たなくする治療です。一方、ボツリヌスは筋肉の動きによって生じるしわを弱めることで固定じわの形成を予防する治療法です。
眉間のように、表情を作らなくてもしわがあり、表情を作ると深くなる部位に対しては、ボツリヌスとヒアルロン酸の併用が有用です。(当院ではヒアルロン酸注入療法はおこなっておりません)
ボツリヌスの注射部位
額・眉間・目尻
ボツリヌスは、額・眉間・目尻など、笑った時にできる表情筋が原因で発生するシワに有効です。一方で、刻まれたシワにはヒアルロン酸やPRP注入療法が適しています。
眉間のしわと目尻のしわに対するボトックス治療がもっとも有効性が確立されている治療とされています。
アゴ
アゴの梅干しシワはオトガイ筋の過剰な緊張が原因で発生します。ボツリヌスの顎への注射は、オトガイ筋の緊張を和らげ、シワを軽減させます。
エラ
エラが張っている状態は食べ物の咀嚼に関連する筋肉である咬筋が発達していることによります(Square jaw)。左右の咬筋にそれぞれ20-30単位程度のボトックスをうつことでエラの張りを軽減することができます。副作用として2割程度のかたが咀嚼力の低下を感じます。また笑筋にボトックスが浸透すると笑顔がゆがむなどの症状がでることがあります。
肩
肩こりは疲労性の筋肉痛が主な原因であり、首の脊椎周辺の筋肉の緊張が影響します。ボツリヌスはこれらの筋肉の緊張を和らげ、肩こり・首こりの緩和に寄与します。また、肩の筋肉の盛り上がりを解消し、美しい肩のラインを作り出す効果も期待できます。
ボツリヌス注射の仕組み
費用
眉間・目じり(片側)・おとがい(梅じわ) | 12,000円(税込) |
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額 | 12,000円(税込) |
エラ 両側 | 28,000円(税込) |
肩 両側 | 40,000円(税込) |
ふくらはぎ 両側 | 80,000円(税込) |
わきの下 両側 | 36,000円(税込) |
膀胱内 | (保険診療) |
診察料
初診 | 3,000円(税込) |
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再診 | 1,000円(税込) |