麻疹(はしか)の抗体ありますか?ワクチン2回接種済みですか?
2024年3月から、麻疹(はしか)の感染報告が増加しています。2月24日にアラブ首長国連邦からの飛行機を利用した人の中で、10人が麻しんと診断されました。この飛行機は大阪の空港に着陸しましたが、その後感染者は大阪だけでなく東京、名古屋、京都などでも報告されるようになりました。これらの感染者の多くは、麻しんワクチンを接種していないか、1回のみ接種していることが分かっています。今後、これらの感染者からさらに麻しんが広がる可能性があります。日本は2015年から現在まで、「麻しん排除状態」にあると認定されています。近年の麻しんの国内症例は、すべて海外から持ち込まれたものですが、持ち込まれた麻疹ウイルスが国内で広がることもあります。新型コロナウイルス感染症の流行がおちついて、海外と日本国内との人の移動が再び活発になってきたこともあり、麻しんの海外からの持ち込まれることが増える可能性が心配されます。
麻しんは感染してからだいたい2週間後に症状が現れ、発熱、鼻水、咳、のどの痛み、結膜炎などが主な特徴です。また、数日後には全身に皮疹が現れます。頬の内側の粘膜には時に、白い小さい斑点であるコプリック斑が見られることがあります。
麻しんにかかった人の中で数パーセントで合併症が発生することがあります。中耳炎、下痢、肺炎、脳炎などが一般的ですが、特に肺炎や脳炎は重篤な合併症として知られています。まれに、感染から数年以上経ってから起こる脳炎であるSSPE(亜急性硬化性全脳炎)が発症することもあります。
麻しんは非常に感染力が強い病気です。免疫を持たない人が麻しん患者と接触すると、9割くらいの人が麻しんを発症すると言われています。この病気は空気感染によって広がり、感染者の肺や気道から排出された麻しんウイルスは最大で2時間、空気中に存在します。そのため、麻しん患者と直接接触していなくても、飛行機や電車の中など同じ空間にいるだけで感染する可能性があります。
麻しん(はしか)は感染力がもっとも高い感染症のうちの一つですが、麻しんワクチンを接種することで感染を防ぐことができます。生涯で2回の麻しんワクチン接種を受けることで、通常は、十分な免疫が得られます。
自身のワクチン接種歴を確認するには、母子手帳を確認するのが確実です。母子手帳には定期接種の記録が記載されています。麻しんにかかったという記録や家族の言葉があっても、それが確実な情報であるかどうかはわかりません。また、母子手帳がなくて接種状況を確認できない場合には抗体検査 (麻疹抗体IgG測定)を受けることで確認できます。
国内での蔓延状況に注意しつつ、ご自分のワクチン接種歴や、麻しん抗体価を確認しておきましょう。
https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/measles/measles/
当クリニックでは麻疹抗体価の測定を行っています(税込5500円)。結果は2-4日程度で確認できます。