帯状疱疹は他人ごとではない、50歳を過ぎたら迷わず接種しよう
帯状疱疹という名前は聞いたことがある人は多いかと思いますが、実際のところ「自分が帯状疱疹にかかるかもしれない」と心配している人は少ないかと思います。
実際には50歳以上になると体の免疫力が落ちてきますので帯状疱疹に罹患する割合がどんどんあがっていきます。帯状疱疹は見た目で赤い水疱が広がってきて、痛みも伴いますのですぐに気づくことが多く、早期に抗ウイルス薬をのむことで帯状疱疹じたいは治っていくことが多いのですが、問題は帯状疱疹後神経痛(PHN)で最も多い合併症とされています。帯状疱疹の皮膚症状自体は治ったけれども、①その後も痛み(神経痛)がつづく②運動神経麻痺③眼の合併症④耳鳴りめまいなど⑤髄膜炎による中枢神経合併症がおきてしまうと患者さんの生活の質を大きく損ねてしまうことになります。日本では帯状疱疹の対策として2016年から生ワクチン(ビケン)が、2020年から不活化ワクチン(シングリックス)が使用可能になり帯状疱疹の予防方法としては有効性が高いのですが現状ではまだ広く普及しているとは言えない状況です。
帯状疱疹とは?
帯状疱疹は神経に潜んでいるヘルペスウイルス属の水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化によって引き起こされる病気です。体の神経節にそって帯状に赤い水ぶくれができるので比較的簡単に診断ができます。
日本の実際のデータでは帯状疱疹は50歳以上で急激に増加しており、女性に多く、冬よりも夏に多いという季節性がありました。年々、帯状疱疹の患者さんは増えてきていますが、この理由としては①高齢の人口が増えてきていること②医学の進歩により癌などの病気にかかっても長期間生きられるようになった一方で、治療に伴う免疫力の低下で帯状疱疹ウイルスが活性化しやすくなっていること、があげられます。
帯状疱疹の発症リスクとなる要因
・高齢者
・悪性腫瘍:癌
・家族が帯状疱疹
・ストレス、女性、糖尿病、リウマチ
・免疫力の低下:HIVやAIDSによる免疫抑制
ワクチンで帯状疱疹はどの程度予防できるのか
現在日本で使えるワクチンは2種類ありますが
①乾燥弱毒生水痘ワクチン(ビケン)
ワクチン接種後平均3.12年のフォロー中に、帯状疱疹を発症した確率が51.3%低下し、帯状疱疹後神経痛は66.5%低下、重症度は61.3%低下しました
一方で、問題点として①効果が8年程度で切れてしまうこと②生ワクチンのため免疫力が低下している人には使えないこと(癌、HIV、免疫抑制剤を使用している場合など)があります。
②乾燥組み換え帯状疱疹ワクチン(シングリックス)
ワクチン接種後平均3.2年のフォロー中に、ワクチンによって帯状疱疹発症を阻止できた割合が97.2%もありました。70歳以上の人でも89.8%の帯状疱疹発症阻止率がありました。帯状疱疹後神経痛への有効性も88.8%と高く有効性が非常に高いという結果でした。生ワクチンではないため免疫抑制状態にある患者さんでも接種可能です。
2回の接種が必要で2カ月程度あけて2回目も接種することで十分な予防効果を確保できます。
帯状疱疹にかかってしまった人は帯状疱疹ワクチンを接種してもよいのか?については、「すぐにうった方が良い」「1年たってから」など諸説ありますが、帯状疱疹が十分に治ってから(2カ月程度たってから)の接種がよさそうです。
https://www.azabujuban-clinic.jp/vaccination/
https://www.city.minato.tokyo.jp/hokenyobou/yobousessyu/taijyouhoushin.html